●ねじらず、うねらず、踏んばらないナンバ歩き
かつて江戸時代までの日本人はみんなナンバ歩きをしていました。
ちょっと聞き慣れない歩き方ですよね。ナンバは「難場」、困難な場所ととらえています。
たとえば、人ごみの中を急いで歩くとき。
この難場で、着物を着くずれないように切り抜けるためには、体を必要最低限で効率よく動かす必要がありました。
そのコツは体を「ねじらす」「うねらず(しならせない)」「踏んばらない」こと。ナンバ歩きは、この3つのコツを集約した歩き方で、これこそ腰痛や膝の痛み、肩こりを解消する方法だったのです。
ちなみに現代人の歩き方は、明治政府が西洋式軍隊の様式を導入した影響といわれています
●肩甲骨に筋肉を刺激。肩こりにも効果あり
ナンバ歩きのやり方を紹介しましょう。
右足を出すときに右腕を、左足を出すときに左腕を出して、体をねじらないように歩くだけです。
ポイントは、右足を前に出すと同時に、右腕を前に出すことです。
すると、右半身全体が前に出るように歩けます。
左側も同様です。ただ、手先だけ前に出すと、体が左右に回転して歩きづらくなってしまいます。
感覚がつかめないという人は、両手を太ももの上に置いて、歩いてみて下さい。
同じ手と足が前に出るので、ナンバ歩きの感覚がつかめるでしょう。
左右の手足を互い違いに出すふつうの歩き方は、どうしても腰をひねりながら歩くことになってしまいます。
すると、腰に無理な負担がかかるので、腰痛を起こしやすくなります。
内臓の血流が悪くなることや腸の動きが鈍くなることもあります。
現代人に腰痛や便秘の人が多いのはそのせいかもしれません。
しかし、ナンバ歩きなら、骨盤を無理なく動かすことで腰の痛みが解消されるでしょう。
また、ふだん使わない肩甲骨の筋肉も刺激されます。
さらに、ねじらず、うねらず、踏んばらないことで、全身の筋肉を均等に使うことができますから、一部に負担をかけません。
歩くときに膝やかかとにかかる衝撃も減少するので、ひざや足の痛みも改善されます。
また、便秘、目の疲れ、頭痛、持久力低下、慢性疲労にも効果があります。
ナンバ歩きには、一日何分やればいいという決まりはありません。
初めに5分ほどナンバ歩きで歩いてみましょう。すぐにコツがつかめます。慣れたら日常生活にも取り入れてみて下さい。